– 前回までのあらすじ –
エレキギターを手に入れ、
月刊GIGSを購読するようになり、
MIDIもエフェクターも少ない情報から少しずつ触れていくようになったあるとき、
なんでだったか、MTRというものを手に入れたのです。
MTRとは
MTRとは、マルチトラックレコーダーのことです。
トラックってのがパートのことで、つまり多重録音が出来るよってことですね!
電子ピアノにMIDI録音機能がついてたので16パートまではそこで扱うことが出来たのですが、MTRはオーディオデータを扱うので、もっと純粋に”録音”な感じになります。
YAMAHA mt400
で、当時僕が手に入れたのがこれです。
YAMAHAのMT400。
現物の画像なんて取っといてなかったから今見てもらったのはネットから拾って来た同じ製品の画像です。
これ、カセットテープに録音していくものなんです。
今の若い音楽家はカセットテープなんて使ったことないかも知れませんが、
このYAMAHAのMT400はカセットテープを使って4トラックまで多重録音が出来るというものです。
たったの4トラックですよ!
これだけ大きい個体でようやく4モノラルトラックですよ!
当時一般人が買えるくらいの価格でって言ったらこれくらいで限界だったんですね。
ちなみに、カセットテープは普通に再生するとLとRの2チャンネルしかありません。
なのにどうして4トラック分のパートが扱えたかというと…
なんとA面のLとR、そしてB面のLとRを同時使用するというなんとも素晴らしいアイディア!!
…素晴らしいんだよ!!わかって!!
MTRを使ってやったこと
多重録音はアップライトピアノのサイレントモードでMIDIが立ち上がるのでそれでしばらくいじってました。
しかしMTRがあるとそれとなにが違うのでしょうか…
ギターが録音出来るんです!!
そう、MIDIだけだと所詮は電子ピアノに入ってる音色を選んで重ねていくだけなんですけど、MTRならオーディオが扱えるので、ギターの多重録音が出来るんです!
最初はなんもよくわからない状態でギター4本、バッキングパートとリードパートを弾いたり、合唱の楽譜から各パートを一本ずつ弾いて重ねたりしてたけれど、
これを電子ピアノのMIDIから音源流しこめばいいんだと気付き、ドラムとベース、ピアノやストリングスを打ち込みで作ってからギターを重ねるというのを思い付きました。
めちゃめちゃ普通のことだけど、どこからも情報が得られなかった田舎の中学生の発想にしてはなかなかやるでしょ?
MTRが教えてくれたこと
こうしてマルチトラックレコーディング遊びを始めた萩原少年は、
中学生のおもちゃとしては少々特殊なYAMAHA MT400から色々なことを学びました。
ギターの音は録音してからも変えられるらしい。
音量のバランスってとても重要かも。
そんなミックスの常識を自分の耳で感じ取っていたし、
今の世代はわからないだろうけど、ピンポンという録音トラック数を擬似的に増やすテクニックだったり、テープの逆再生サウンドだったり、色んなことを触りながら覚えていきました。
毎日が新しい発見で、むしろギターを弾く喜びと録音して音源を完成させる喜びがほぼイコールだったかもしれません。
その後のレコーダー遍歴
その後、たしかこのYAMAHAのMT400がさすがにあちこち調子悪くて、ノブとかも取れてて、だから自分でMTRを買うことにしました。
それがfostexのX-12。
fostexX-12
MT400からしたら劇的に小型化されていて……つまりMT400はいつの製品だったんだろうという素朴な疑問に笑ってしまうほど。
X-12は何故だかわからないけど繰り返しレコーディングしてもMT400より音がクリアで(MT400のヘッドが汚れてただけかも)、
レコーディングの気軽さが格段に上がり、とても楽しかったなぁ。
これが当時1万円代で買えたってのはすごいと思う。
デジタル時代来てた中でのアナログレコーダーだからまぁそんなもんなのかな。
でもとてもお世話になりました。
そして次に買ったのは……え〜っと……多分コレ!
Roland VS-880
さっきから紹介してるのはもちろん型番とかは全然覚えてないので、頑張ってなんとなくのメーカーや特徴からどうにかこうにか型番を割り出してメーカーから画像を拝借しています。
一番使ってた期間が短い……というか正直愛着が薄いのがこの3台目のMTR。
記録メディアはZIPファイルというフロッピーみたいなやつ。
1曲録るのに1枚のZIPファイルが必要で、しかも当然コンビニとかで売ってるわけでもなく都会の電気屋さんまで買いに行かなければいけないというめんどくささ。
しかしこのMTRから遂にデジタルレコーディングになりまして、
音がスッキリしたんだけど……なんか……なんかつまらない印象でした。
今思えば、レコーダーがアナログだったときの方が音が暖かくて好きだったんじゃないかなと。
というより、デジタルレコーダーのいいところを活かしきれてなかったんだろうなぁ。
まぁこの当時も既にZIPファイルってのがオワコンだったので、あまり長く使わなくてよかったかなwww
そして一番長く使ったのがコチラ↓
ZOOM MRS1608CD
高校生のときに自分たちでバンドやってて、音源を作ろうぜとなったときにみんなで買ったもの。
デジタルレコーディングが出来るMTRで、ドラムの録音もしたいから8チャンネル同時録音、16パート同時再生、エフェクトもたくさん入ってて、CDにも直接焼ける、
そんなすごいやつ!
アマチュアでも自分たちでレコーディングが出来るようになってきた時代だったので、
Roland(BOSS)、YAMAHA、TASCAMなど色んなメーカーから出てたけれど、他のメーカーのは安くても10万円以上だったので、当時高校生だった僕らがお金を持ち寄って買えたのはコスパの神様ZOOM社ののみ。
結局バンドでは2曲録っておしまいだったけれど、
バンドが解散するときみんなで話し合って、僕が引き取ることになりました。
(録音のエンジニアリングとかも僕が見よう見まねでやってたことから、割とサラッと僕に譲ってくれた。なんか飯でも奢った気がするけどその程度で。)
そしてその後しばらくの音源作りにも、舞台音楽の音出しやライブの同期流しなどにも大活躍してくれました!
→2014年6月、友人に引き取ってもらいました
そしてDTMerへ
上記4台のMTRを経て、いよいよ僕の宅録人生は DAW(デジタルオーディオワークステーション)、つまりパソコンに録音するようになります。
Pro Toolsに始まりSONARを長く使いLOGICに乗り換えてからCUBASEで仕事をする日々が来るのはまだもう少し先の話なので、また今度お話しましょう。