どうも、生音系アレンジ得意な萩原悠です!
昔はバンドがメインでしたが、
DTMを始めるようになりストリングスやブラスなどのトラディショナルな生音楽器系の打ち込みも得意になりました。
おそらくそのきっかけになったのは2006年に購入したこの参考書でしょう。
松浦あゆみ著
ブラス&ストリングスアレンジ自由自在
今でもお仕事いただいてストリングスのアレンジしたりブラスの打ち込んだりのときにわたしの中に根付いているのはこの本が教えてくれた知識です。
皆さんにも是非読んでもらいたいので紹介したいと思います!
ブラス&ストリングスアレンジ自由自在
こちらです。
各楽器の構造やセクション内でのハーモニーの作り方、
そしてMIDIでの打ち込みの仕方までを網羅した、
DTMerのための教則本です。
今とりあえずちんぷんかんぷんな方も、
なんとなくで打ち込んでるけどなんか嘘っぽくなっちゃうとお悩みの方も、
きっとこの一冊で一気に上達しますよ!
そのそもストリングスとは、ブラスとは
わたしの生徒さんの中に実際いたのですが、
実際の楽器を知らないでDTMの音源としてしか知らない方で、
“ストリングス“と”ヴァイオリン“が別の楽器だと思ってる方っているんですよね。
“ストリングス”ってのは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなどの弦楽器の総称で、
音源の名前になってる”Strings“ってのは大体の場合がこの弦楽器たちの合奏の音色です。
それと似たような感じでブラスというのは金管楽器という意味ですが、
ちょっとだけ定義が曖昧です。
サックスやチューバ、ホルンなどはそのときによってこの”ブラス”という言葉に含まれたり含まれなかったり。
本書では、ポピュラーミュージックにおけるブラス隊の使い方が主なので、
トランペット、トロンボーン、サックス
の3種類をブラスと定義してお話が進みます。
この本の内容
では、少しではありますが、
このブラス&ストリングスアレンジ自由自在の内容を紹介していきましょう。
わたしがうまく伝えることが出来たら、きっとみんなこの本の便利さに気づくと思う!
収録コンテンツ
- ストリングス
- リズムアレンジの中でのストリングスアレンジ
- ブラス
- リズムアレンジの中でのブラスアレンジ
- ストリングスとブラスのコンビネーション
こんな感じです。
逆に言えば、これ以外のことは全く載っていません。
とは言え、コンテンツを目次化してしまえばそんなものですが、
内容自体はかなり深く、実践的です。
ちょっと紹介していきますね。
ストリングス、ブラスの楽器構造と演奏法
まず、基本的にストリングスとは、ブラスとはどんな楽器なのだろうか。
そんなところから始まります。
ヴァイオリンとヴィオラはなにが違うのか、チェロの音域はどこまで出るのか、コントラバス独自の奏法はどんな音がするのか……
などなど、まずそれぞれの楽器を知るための基礎知識が書いてあります。
シンセサイザーの場合、コントラバスの音でめっちゃ高い音域鳴らしたりも出来ちゃいますが、
それではコントラバスらしくならないし、
コントラバスの音色を使う理由も薄れてしまいますよね。
ヴァイオリンで弦を2本同時に弾くダブルストップという奏法、
そういう奏法があることを知っていてヴァイオリンの音域も知ってたとしても、
構造上弾くことが出来ない音もあるんです。
トランペットの”一応出せる音域“と”最良の音域“が違うなんて知らなきゃ知らないし、
知らない人が書いたトランペットのパートって大体常に高音すぎて酸欠事件です。
それらは全て、楽器の構造を知っているかどうか。
実際に奏者じゃないとわからないことです。
それがこうして一冊の本にまとまってるだなんて、ありがたいですねぇ。
ストリングスセクション、ブラス隊のハーモニーの作り方
そのときによってそれぞれ違いますがちゃんとした大人数ストリングスセクションでは
- 1st ヴァイオリン
- 2nd ヴァイオリン
- ヴィオラ
- チェロ
- コントラバス
(それぞれに複数人の奏者がユニゾン演奏しています)
この5パートでの、一般的な、最適なハーモニーの作り方がこの本では紹介されています。
ピアノみたいにドミソドミな感じで詰むことも、ギターのコードみたいにそのまま横に大移動なんてこともないんです。
ストリングスにはストリングスの積み方、動き方があります。
もちろんブラスにも言えること、
むしろたとえ”ブラス3人“の編成であっても
トランペット、アルトサックス、トロンボーン
なのか
トランペット、トランペット、トロンボーン、
なのか、
トランペット、アルトサックス、テナーサックス
なのかで最終的な音の感じは大きくことなりますし、もちろんそれぞれ音域も異なるので積み方が変わります。
“ドロップ2&4“という定番の積み方も、知らなきゃ思い浮かびませんよね。
ビッグバンドっぽいホーンセクションを打ち込みたいのに何故か、小さくまとまってショボくなっちゃうって方はこの本読めばすぐに解決します。
ストリングス、ブラスのリズム
ブラスは特に、リズムが命です。
ブラス隊らしいリズムの作り方とストリングスセクションらしいリズムの作り方は、
楽器の構造、役割からして全然違うのです。
逆に、それを活かして作ることによって、
よりトランペットらしいフレーズ、
よりチェロらしいフレーズを作ることが出来ます。
このあたりを読むともう自然に頭の中で楽器たちが鳴り出すようになるはずです。
打ち込みでの再現の仕方
わたしはこれがこの本の一番メインのパートかなと思ってます。
この本は、”作曲家のための本“というより、
“DTMを使った作曲家のための本“です。
ヴァイオリンらしいトリルやトロンボーンらしいベンドが理解出来たとしても、
それをMIDIで打ち込み出来なければ意味がありません。
この本ではエクスプレッションのカーブの書き方やMIDIのノートの微妙な長さも図解入りで説明されています。
このあたりはおそらく演奏者さんたちも理解してない”感覚”の話。
打ち込みとは、演奏者さんが感覚でやってることをデジタルで表現しなければいけないので、
なかなか弾ける人に相談しても的を得た答えが返って来ないんです。
そんな知りたかった情報がわかりやすくまとまっている、
これがこの本の真骨頂です。
二枚組のCD連動
なんとこの本、CDが2枚もついてきます!
ご想像通りストリングスDiscとブラスDiscです。
それぞれの楽器の普通に弾いたときの音色紹介トラック、
ピチカート奏法、トリル、ベンド、シェイク、グリッサンドなどの奏法もひとつずつちゃんとCDに収められています。
もちろんハーモニー、アンサンブル部分もCDに収録されていて、
ポルタメントを使った進行、オクターブの駆け上がりフレーズ、
ブラスのボイシングごとの違い、
リズムの切り方の実践など、
そのまま真似したら曲出来ちゃうじゃんレベルの豪華な参考音源がついています。
ストリングスやブラスをあまり詳しく知らない人ほど、
こうして耳から情報を入れて、あとは本を見ながら真似しましょう。
ちなみにわたし、このCD失くしちゃったwwww
まとめ:なにも知らないところからしっかりとしたアレンジが作れる
そんな感じで、
表紙に書いてある通りの
“知っていると知らないでいるのとでは大違い”
な部分をまとめて教えてくれるとてもよい参考書です。
ある程度ちゃんとメロディとコードが出来ているならストリングスの音色でファーと弾いたりブラスの音色でバララーと弾いたりすると”なんとなくそれっぽい”にはなるかと思います。
最近の音源はそれくらいよく出てきています。
しかしやっぱりちょっと人間が弾いたようには聴こえない、
いわゆる”打ち込み感”が出ちゃうことってありますよね。
本物っぽく聴かせるにはやはり色々なコツがあるんです!
最初にも言いましたが、
わたしはストリングスやブラスに関してはほとんどこの本からの知識だけで今までやってきました。
それくらいずっと使える知識がぎゅっとまとまっています。
当時一生懸命読んでたのが垣間見える付箋ねw
是非一冊買ってじっくり読んでみてください。
皆さんにとっても一生使える一冊になりますよ!
最後まで読んでくれてどうもありがとう!
萩原悠(Twitter→@hagiwarau)でした!