どうも、元バンドマンの作曲家、萩原悠です!
ギターから初めてDTMに手を出すと、どうしても苦手なのがシンセサイザーの音作り。
高性能高音質なシンセサイザーを使って複雑なサウンドを作りたいという欲はあるんだけれど……
そう、例えばspectrasonicsのOmnisphereとかね!
たしかにOmnisphereは多くのプロが使っているけれど、
出来ることが多すぎて全てを使いこなすのは難しいです。
でも!
いいのよ!
簡単に使うことも出来るから!
Omnisphereを使い始めようよ!
ということで、ここではモンスタープラグインシンセサイザーOmnisphereの超簡単な使い方をレクチャーしたいと思います!
Omnisphere 2
最強ベース音源TRILIAN、
最強グルーブドラム音源STYRUSと並び、
Spectrasonics3兄弟のうちのひとつにして、
空間系の音色を得意とする最強シンセサイザー、
それがOmnisphereです。
前身モデルのAtmosphereから進化を遂げ現在はOmonisphere2となっております。
(近日中にOmnisphere2.5がリリースされることが発表されました!→レビューはこちら!)
多くのメジャートラックメーカーたちがこぞって使うこのOmnisphere、
もちろんわたしもしょっちゅう使ってますし、
映像系や舞台系の作曲ではほぼ100パーセント立ち上げる、
バンド系でも空間を広げたいときにはすぐに頼っちゃいます。
Omnisphereは難しい!
数あるソフトウェアシンセサイザーの中で、Omnisphereはかなり難しい部類に入るでしょう。
ひとつずつの画面内はかなり見やすく配置されているので、
シンセサイザーについての知識がある方は慣れればある程度のところまでは使いこなせるはずですが、
だとしても”ある程度のところまで”止まりだと思います。
それほどまでにOmnisphereは奥が深いんです。
ただ、わたしは思うんですけど、
こういう多機能系のモノって、全部の機能を使いこなしてる人なんていないと思うんです。
例えば電子辞書とかでも最近は膨大な量の辞典が収録されていて、
- 日本史一問一答
- スピーチに使うドイツ語
- デジタル昆虫図鑑
- 冠婚葬祭マナー
- 漢方薬
- 俳句
とか色々入ってても見ないじゃないですか。
全部見ないと元が取れないなんて思わないし、自分が使うところだけでいいんです!
NHK見てないのに受信料取られるってのとはわけが違うんです!
Omnisphereはたしかに色んな難しい機能があって、少し知識が増えるごとに出来ることがどんどん拡がり、
いつまでも飽きることがないでしょう。
しかし、逆になにもわからなくても全然使いこなせるんです!
全部を使いこなさないと偉そうに説教してくる奴はシカトしてかまいません。
ってことで、今日は出来るだけ簡単にOmnisphereをある程度使いこなす、
そんなお話をします!
Omnisphereの一番簡単な使い方 音を出す編
では紹介していきましょう。
まずここでは音を出すところまで。
ぶっちゃけほとんどの方がここは飛ばして読んでも問題ないです。
今日のわたしはとっても親切なので書いておいてあげますww
トラックを選ぶ
Omnisphereは8チャンマルチティンバー音源です。
つまりひとつのOmnisphereで8パートまで作れて、別々のMIDI演奏をさせることが出来るわけですね。
Omnisphereくらい色んな音源が入ってたら、これだけで1曲作り上げることが出来るレベルです。
てことで、まずは一番上のチャンネルセレクトから、
どのチャンネルの音作りを始めるかを決めます。
最初は当然なんの音も入ってないのでどこを選んでもいいし、
なにもさわならければ1chが選択されててそのまま使い始めればOK。
しかし、例えばひとつ音色を作って、それに重ねて次の音色を作ろうと思ったとき、
くれぐれもちゃんと隣のトラックを選択するのを忘れずに!
そのままのトラックを使い続けると痛い目を見ます。
デジタル絵描きさんならレイヤーを切り替え忘れたときの絶望感がわかるだろ?
ブラウジング
Omnisphereは10000を超える膨大なプリセットが入ってるわけですが、
全部聴いてたら曲を作り始める前に夜が来てやがて朝になりますw
しかしOmnisphereはかなり細かいブラウジングサーチが出来るため、
ベースだとかポリシンセだとかストリングスだとかの大きなカテゴリーから、
ダンス系、アンビエント系、映画系、効果音系などのジャンルの絞り込みなどを経て……
使いたい音のイメージさえ持ってればかなりのところまで絞り込むことが出来ます。
ひたすら聴く
あとはもうひたすら聴いていきます。
各パッチの読み込み速度も速いので、全くストレスになりません。
これでなんとなくイメージに近い音を探していきましょう。
わたしが使ってるOmnisphere(1)にはありませんが、
Omnisphere2以降は『Sound Match』という機能があって、
似た音をバンバン並べてくれるというのがあるので、
検索はかなり楽だと思います。
また、『LOCK』機能を使えば今作ってるエフェクトやシンセサイジングなパラメーターはそのままにして他の音色、オシレーター付近だけを切り替えることが出来ます。
これもいいなぁ。
「リードシンセとして作ってたけど、ちょっと波形変えてみようかなぁ……」
ってなったときとか、
「テンポディレイをかけたシーケンスフレーズだけどやっぱり音色ちょっと変えたい」
ってときとか、せっかく詰めた音作りを無駄にしないですみます。
ここまでは電子ピアノと同じ
ここまでで、とりあえずは好みに近い音を出すことが出来ました。
なんせ音がいいのでこれでもぜんぜん楽しいんですけどね、
今の”選ぶだけ”からもうちょっとだけ突っ込んだ使い方をするとイメージどおりの音になりますよ!
Omnisphereの使いこなし 初級編
レイヤーのバランスを変えよう
Omnisphereは2つのオシレーター、というより、
完全に独立したフィルターやらエンベローブを設定した2系統を同時に鳴らして作っている音色が多いです。
だからこんなにも空間の広がりがあったりするわけですが、
片方の音がアタックのビョンって部分でもう片方がそのあとのサスティンを担当しているという感じで、
スタンダードな音+エグみ という分担がされてるパッチも結構あります。
そしたら、その2つの音色のバランスを変えてエグみ具合を自分好みに調整してみましょう!
アタックやリリースをちょっと調整する
「だいたいいい感じなんだけどちょっとフェードインしてくる感じとかがいらないなぁ」
「単体で弾いてる分にはいいんだけど、音の余韻が長すぎて曲に使うにはちょっと邪魔」
きっとこんな気持ちが湧いてくることでしょう。
そしたらちょっとだけシンセサイジングしましょう。
一番単純でわかりやすい部分、エンベローブというシンセの基本項目をいじってみましょう、
上部でEDITのタブを選択し、
右下にあるのがエンベローブ、ADSRという概念で編集します。
ADSRはアタック、ディケイ、サスティン、リリース、
それぞれ立ち上りの速さ、最高音量から減衰する速さ、減衰したあとの音量、ノートオフしてから音が消えるまでの長さ
です。
まぁこの説明だけじゃ意味わからないと思いますが、
この中で効果がわかりやすく極めて重要なのがアタックとリリースです。
アタックタイムが長くなると鍵盤を弾いてから音量がゆっくりあがっていくことになり、これを速めていくと鍵盤を弾いた瞬間にパンと最高音量になります。
また、リリースは鍵盤を離したあとの余韻の長さになるので、これを最低値にしておくと鍵盤を離した瞬間にスパッと音が切れます。
しかし楽器としてはこれは不自然なんです。
ちょっと余韻が残ってしまうのが楽器として本来の姿なので、ほどよいポイントを探しましょう。
そんな感じで、アタックとリリース、超重要です。
ロック系のアレンジにストリングスを入れたいとあれば、そのままのリアルなストリングスだとアタックが遅くてリズムがはっきりしない感じになってしまいます。
ちなみに、ADSRはレイヤーごとに設定出来るので、
両方を調整しないといけないので注意!
レイヤーの切り替えは画面の上下両方にあり(黄色い枠)、
下部真ん中のLINKボタンを押すとレイヤーAB両方のパラメーターを同時に調整できるので便利です!
エフェクターを加える
最後に、エフェクターを使いましょう。
これはみんな得意でしょう。
おすすめはイコライザー、コンプレッサー、歪み、ディレイです。
どれも最終的にオーディオ化してからDAW上でかけられるものですが、
なんとなくわたしはこの4つくらいはOmnisphereでかけちゃうものも多いです。
イコライザー
これはもうマストです。
Omnisphereのサウンドは密度と存在感がたっぷりなので、むしろちょっと出すぎなくらいなときがあります。
そこでイコライザーでいらない低域を削るのです。
これをやるかやらないかで最終的な音源のすっきり具合が段違いです。
シンセサイザーのプリセットは大抵ソロで弾いたときにカッコいい音になってます。
ただそのまま使ってトラックを重ねると全員が主役になりたがってしまう混沌とした舞台になります。
ほどよく帯域を譲り合ってみましょうね。
コンプレッサー
使い方が難しいことで苦手意識を持ってる方も多いコンプレッサーですが、
うまく使うと音圧やアタック感をいい具合に調節することが出来ます。
自分は音圧を出すのはミックス時にまとめてやるとして、アタック感の調整は結構Omnisphere内のコンプでやってますね。
モダンコンプ,ヴィンテージコンプ、ゲート、リミッターなどなど、
複数収録されてるコンプはどれもパラメーターもシンプルで使いやすいですし、動作も軽くてサッと作りこめます。
歪み
Omnisphereには結構色んな歪みエフェクターが入ってて、
しかもそれぞれのエフェクターにもプリセットがいっぱい入っていて、
割と簡単にサウンドを好みの汚れ具合にすることが出来ます。
アタック感を強めたり、ほかのパートと馴染ませたり目立たせたり、高次倍音を足したりと、
全体的にちょっとデジタルっぽい歪みが多いですが、
いい具合に汚れてくれるので、結構オールマイティーです。
ディレイ
特別すごくいいというわけではないのですが、
ハイファイなディレイもローファイなディレイも揃っていて使い方がクッソ簡単なのでリード系やアルペジオ的なサウンドにはここでディレイをかけちゃいますね。
リバーブ
一応追加でリバーブも。
これもインサートでかけることが出来るのですが、
実はOmnisphereには各チャンネルから共通で送れるAUXトラックが4つもあり、
そのうちのひとつにあらかじめリバーブが入ってるんですね。(実はディレイも入ってる)
つまりはセンドで送るという普段のリバーブらしい使い方が出来るわけですね。
8チャンネルのマルチティンバー音源であるOmnisphereはこうしてAUXでリバーブをかけることによって音源の空間を統一することが出来ます。
Omnisphereを使いこなそう!中級編
ここまででひとまずかなりいいとこまで音が作れたのではないでしょうか。
(一番時間かかるのはイメージに似た音を探すとこでしょうねw)
では最後にもうちょっとだけいじってみましょうか。
ここからようやくシンセっぽくなってきますよ!
フィルター
ここまで肯定はほとんど”シンセサイズ”してないんですね。
なので、ようやくここでシンセらしいつまみをいじっていきましょう。
フィルターセクションのカットオフフリーケンシーとレゾナンスです。
シンセサイザーのフィルターとは、”どの帯域から(orまで)の音を使うか”みたいな感じです。
音響合成の細かいお話はここでは省きまして、一番よく使われるローパスフィルターのお話をしましょう。
どれくらい高い成分まで残すかを調整するのがカットオフフリーケンシーというつまみです。
カットするフリーケンシー(周波数)ってことですね。
そして、シンセの面白いところは、そのカットする周波数付近を強調することによって特徴的なサウンドを出すというところです。
その強調具合をレゾナンスという値が決めます。
なかなか想像出来ないかもしれませんが、”これぞシンセサイザー!”という音がしますよ。
アルペジエーター
“シンセサイザーらしさ”のひとつとして、
指一本で演奏が出来るというところもあります。
あれはアルペジエーターというものを使ってるんですね。
てことで、ちょっといじってみませんか?
ここで選ぶだけです。
Omnisphereは膨大なアルペジオパターンが収録されていますが、
慣れてくると名前を見るだけでなんとなくのフレーズがわかるようになりますよ!
ランダム具合や微妙なズレ具合とかも細かく調整出来るので、
結構奥が深いです。
これを使いこなすことによって、
今まで苦手だったシンセサイザーらしいシンセサイザーの使い方をマスターすることができますよ!
ここまで出来れば中級クラスなはず
さて、いかがだったでしょうか。
この辺まで自在に扱うことが出来ればまぁとりあえずOmnisphereを有効活用してると言ってよいでしょう。
正直に言うとOmnisphereのすごいところはこれよりも先、
LFOを操ったり、デチューンかけたり、波形の形を微調整したり、
モノフォニックにしてグライド具合を調整したり、
ビジュアライザーやORBを使ったり、リングモジュレーターをかけたり、
エンベローブもさっきは音量の移り変わりだけにADSRをかけたけど実はフィルターやモジュレーションと掛け合わせることができたり、
そしてなによりOmnisphere2ではグラニュラシンセシスを使ってぶっ飛びサウンドを作り出したり……
本当に色んなことが出来て、
言葉では言い表せないような複雑な空間演出がいくらでも出来てしまいます。
でもまぁそれはおいおいね、少しずつ触っていきながら少しずつ試してみてください。