どーーもーーーーーーー!萩原悠です!(バァン!)

いや〜ごめんなさいねいきなりパクった感じで始まっちゃって。

さて、普段は機材のレビューやギターの弾き方についての記事を書いているこのブログですが、

2018年10月は”読書の秋”ってことで教則本や参考書の紹介をたくさんしてきました。

が!

なんとこのサイトに設置していたAmazonの”→欲しいものリスト“から、

どなたかがこの本を送ってくださいまして、

一気読みしたらまぁ〜めちゃめちゃ面白かった。

何度も感動したし一緒に悔しくもなったし。

ってことで、早速レビュー書かせていただきます!


南海キャンディーズ山里亮太さん著

天才はあきらめた




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天才はあきらめた


こちらはお笑い芸人である山里亮太さんが2018年7月に出版した自伝です。

実は完全なる新書ではなく、

2006年に出版した”天才になりたい“という本を全ページ山里亮太さん本人が超改稿&超加筆して出来上がった文庫だそうです。

“天才になりたい”の方は読んだこともなかったので、Amazonで天才になりたい (朝日新書)の目次だけサラッと見たところ、

たしかに、全然違う本になってそう!

書いてあるトピックス自体もそうだし、

2006年以降のエピソードはもちろんだし、

それよりなにより、

タイトルから汲み取れる山里亮太さんの気持ちに大きな変化が訪れていそうだった。


山里亮太を知っているか


そもそも、山里亮太さんについてご存知ですか?

男女コンビのお笑い芸人南海キャンディーズとして2004年のM-1で鮮烈なデビューを飾り、

天才だと言われた男、それが山里亮太さんです。

わたしも当時テレビで見たときからめちゃくちゃすごい人で天才だと思ってました。

2010年からはTBSラジオにて水曜JUNK 山里亮太の不毛な議論も担当していて、

2015年から聴き始めたわたしにとって、一時期は日々を生きる活力にさえなっていました。

天才でありながらもゲスで、気持ち悪い変態、

一般的にはそんなイメージかもしれません。

まぁほとんどあってます、ラジオ聴いてても割と気持ち悪いです。

しかしそんな彼の本当の姿はどうなんでしょうか。

それが赤裸々に書いてあるのがこの本、”天才はあきらめた“なんです。


内容


普段のギターの教則本やDTMの参考書と違って、内容を細かく書くわけにはいかないので、

ざっくりとアウトラインだけ紹介しようと思います。


まずは各章のタイトルを。

  • 「何者か」になりたい
  • スタートライン
  • 焦り
  • 有頂天、そしてどん底
  • 泣きたい夜を越えて

千葉県千葉市生まれの彼が、

モテたいという理由でお笑い芸人を目指すようになるというところから、

NSC(吉本総合芸能学院)に入るために一浪して関西大学に入学、

寮生活、NSC入所、同期の天才を目の当たりにし、コンビを組んでは解散し、M-1で脚光を浴び、人気も低迷し、そしてまたM-1に戻ってきてようやく単独ライブをするまでが書かれています。

ところどころ有名な話やラジオで言ってた話もありますが、

初めて知ったことも多く、とても面白かったです。

わたしの面白かったポイント、ちょっと語ってもいいですかね。

わざと電車移動とか増やしちゃったりなんかして、外で一気読みしてしまいました。

Yamasato 02

かあちゃんめっちゃいい人


前半のハイライトはこれだと思う。

山里亮太さんのお母さん、山里文代さん。

意外とテレビやラジオでもその名前は出てきてましたが、

どうしてもお笑い芸人なので、面白ネタしか知りませんでした。

なので、初めてしりました、

お母さんが「亮太は偉いね、すごいね」とことあるごとに言って山里亮太さんを励まし勇気付けていたというエピソード。

先生に怒られてるとき

「反省してる感じだすのがうまいね」

肥満児時代に洋服屋のキングサイズが入らなくて顔を真っ赤にしてるとき

「洋服屋さんが一番大きいと思ってるサイズよりも大きいなんてすごいね」

テレビの子役オーディションの楽屋で周りがみんな劇団や事務所の子ばかりで萎縮してるとき

「あんたすごいねぇ、他の子みたいにお金かけてるわけでもないのに勝負出来てえらい」

クラスで唯一高校受験に失敗してトボトボ帰って来たとき

「あんたがいたら盛り上がりづらいもんね、そういう気の遣えるところが偉いね」

と言って台所に行って大好きなカレーを作ってくれた。(20年くらい経って、あのとき母は台所で泣いていたと知るらしい。)

このなんでも褒めるところが山里亮太さんのその後の人生に大きく影響しているようで、

いちいち注釈はなかったが、

この本の中にもちょこちょこ、自信がなくなったときや挫折しそうになったときに一人で自分を褒めて次の手を打つ、

すぐに改善策、打開策を練るという動きに転じることができたそうです。


張りぼての自信貯金


そうして自ら積み上げた自信、実は全然自信なんてなかったけれど、

どこかで自分はやれるんじゃないかと思って、小さなことでも自信として貯金しておく。

そんなにかっこいいことではないかもしれないけれど、

そうやってずっと頑張って来ての今の活躍があるわけで、

これってとってもすごいこと。


言い訳は立派な武器になる


挑戦するときはもっともらしい言い訳もまでがワンセットだった。
心折れてやめてしまわないように。
心の傷口を広げないようにするには、目の苗のマイナスなことを肯定する言い訳を上手に用意するのが大事だと思っていて、
うまくいかないことがあると僕はそれを必ずやっていた。
前向きな戦いを挑んでたとえ失敗しても、それを続けつための言い訳は立派な武器になると僕は思っている、ただ、言い訳は心折れるのを防ぐためだけにとどめなくてはいけない。努力をしなくなるようだったら、それは悪質な言い訳になる。


山里亮太著 天才はあきらめた より抜粋


ねぇねぇ、この人すごい人だと思いませんか?

卑屈で卑怯で口の悪いみんなのやまちゃんが、自分のためにこういう言い訳を作りながら頑張ってたんですよ。


天才はあきらめた


わたしは誰もがそうじゃないかと思うんですけど、

自分のこと、どこか特別だと思っていませんか?

人と一緒じゃないと嫌なくせに、

人と同じだと言われるのは嫌だ。

変わってると言われたくて話を盛ったりしてませんか?

山里亮太さんも当然、いや、お笑い芸人を目指すんだからもっともっと人と違うことをしたいし、

しかもそこに”天才だから“というのを求めたそうです。

天才がやりそうなことを計算でやってみたり、綿密にした準備してたのを隠しながら

「いや、適当にやってみただけだけど?」

みたいな顔したり。

しかし、山里亮太さんは自分が天才でないことを早くから自覚していました。

だからこそ本物の天才、

キングコング、笑い飯、千鳥、麒麟などが出て来た際にはぐぅの音も出ないほどに打ち負かされ、

じゃあ自分に出来ることはなんだと燃え上がったそうです。

NSCの劇場支配人が変わって新体制になるにあたり、所属芸人たちが1軍、2軍、3軍に格付けされるにあたり、

ここは1軍になるだろうと思ってたのに2軍に配属された山里亮太さん。

1軍にいるあいつらはここがだめ、あいつはここが甘い、など散々難癖による言い訳を引っ張り出し、

張りぼての自信を再構築、

そしてすぐに自分のやるべきことに取り掛かる。

「これで無駄に時間を使わずに済んだ。俺って偉い!」

暴君山里


これはもしかして初版の”天才になりたい“の方の本にはあまり詳しく書いてなかったのかもしれない。

山里亮太さんが歴代の相方とどう付き合って来たのか。

「自分は完璧に出来ている、認められないのは相方の努力が足りないからだ。」

もうね、クズですよwww

「なんでやねん」だけを3時間言わせ続けたり、

三重から彼女が遊びにくるという当日にわざとネタ合わせを入れてデートをつぶしたり、

1日30個ブサイクいじりワードを考えさせたり、

こういったことがNSCに入って最初のコンビでも、

そのあとの”足軽エンペラー“というコンビでも、

そして”南海キャンディーズ“でも。

自分が頑張ってネタも書いて芸人として色々やってるのに、

その間にドラマや舞台に出たりしてタレント気取りの相方しずちゃんに対して、

彼女がようやく休みを作れて友達と海外旅行に行くというときに嫉妬に狂った山里亮太さんが

「この芸人のDVD向こうで全部見といて。あそんでる間に自分がこの人たちにどこが勝ってるのか考えて。あと、海外行くならエピソードトーク20くらいは持って来てよね。」

というクソヤバいエピソードは割と有名ではないでしょうか。


しずちゃんとの和解


いつでも捨てれる準備。

冠番組でも一度も話を振らない。

相方を見て思い知った。力のない人間が芸能人ぶる愚かさを。

フラガール出演の件はマネージャーに言ってこっそりなかったことにさせる。(←結局出演に至った。そして大ヒットした。)


そんな歪んだ山里亮太さんが、のちにしずちゃんと和解をすることになる。

このあたりの話はとても感動的なので是非読んで欲しい。

しずちゃんが山ちゃんのことをどう思っていたのか、

山ちゃんの知らないところで周りになんて言ってたのか。

それを知った山ちゃんがどうしたのか。

そして、いかにしてまたふたりで新作漫才を作ることになるのかを。


M-1再挑戦、初単独ライブ


南海キャンディーズとしてまた新たに再出発したふたりは、

山里亮太さんのラジオ内に電話出演でしずちゃんが出演した際、

今までの話などを直接電波に乗せて話し合っていました。

そしてその際に、辿り着いたのが、M-1への出場

これはラジオ聴いててもリスナー全員がテンション上がったなぁ。

そこから毎週のように

「M-1の準備をこういう風にして、ネタ合わせが今までとこういう風に違ってきてて、一回戦目はこんな空気感だけどなんとか突破できて」

と話してくれて、

結果山里亮太さんのガチガチの緊張は最後まで拭うことが出来ず準決勝で敗退するわけだけども、

そこまでの二人の距離感などもこの本にはバッチリ書いてありました。


そして、結成からM-1準優勝までが早すぎて今まで一度もやってこなかった、

初の単独ライブ開催を決意、

二人で出来る限りの時間を合わせての稽古。

初単独ライブをするには両者が大物すぎてスケジュールが全然合わないのと、

コンビとしての下積み時代が少ないのと不仲暗黒時代が長すぎた故にこれまでのストックが少なすぎるのです。

しかしようやくコンビとしてのチームワークが完成し、

どうにかこうにか迎えた、南海キャンディーズ第二章の幕開け

「どーもー!南海キャンディーズでーす!!」



解説:若林正恭


この本の解説は、オードリー若林正恭さんが書いてくれていました。

同じく猛獣の相方(トゥース!)を持ち、知的なワードセンスで、大声出す系ではない新しいツッコミのスタイルを確立させたヒネクレ男。

そして二人で”たりないふたり”という舞台、番組もやっていたという仲。

この番組好きすぎて最近改めて買ったばかりww


そんな若林さんによる解説、若林さんらしい視点から書かれていました。

結局山里亮太さんを天才と認めてしまわざるを得ないこと、

若林正恭さんが嫉妬していること、

でも簡単に天才だと言ってやりたくはないこと、

などなど、

似た境遇だからこその冷静な分析と、さりげない攻撃が面白かったです。

ちなみに




まとめ:山里亮太は天才なのか


Yamasato 01
—劣等感は最高のガソリン!—


さて、内容と感想とが入り混じってとても読みにくい記事になってしまった自覚があります。

純粋にすごいなぁと思う点と真似しなきゃなぁと思う点。

色んな部分があって胸がいっぱいになりました。

“目の前に来たのはご褒美ではなくチャンス”

この考え方が彼をここまで伸し上げる来たのでしょう。

「医者ネタ(昔のやつ)の方が好きです。」と悪気なく言われたときの悔しさ、めっちゃわかるわぁ〜最新作を一番と思わせたいのに!

そんな悔しさと、それをバネにしてきたという体験がこの本にはたくさん書いてあって、

しかも自分がいかにクズだったかまで赤裸々に書いてあって、どんどん引き込まれていきました。

正直、山里亮太さんは話のテンポも含めてうまい人なので(どうせノートにめちゃめちゃ書きまくって研究したんだろうな)、

活字になるとちょっとクドかったりしてテンポが悪く感じるところもあったけれど、

中盤以降は全然そんなの気にならないくらいに面白かった。

同じように、わたしも悔しい。

作曲家のわたしは、いい音楽やいいステージに触れるとどうしようもなく悔しくなって負けたくなくて今すぐ制作をしたくなるタイプ。

こんなに頑張ってる人の本なんか読んだら、そりゃ負けたくないじゃん。

天才じゃないからこそ出来た、努力の天才である山里亮太さん。

あんたもわたしの、いいガソリンだぜ。

いつかラジオのBGM担当させてもらうときのために今からこっそり曲作っておこうかな。

話振られた翌日に提出して「もしかして天才なんじゃね?」って思われるために。

以上、やまちゃんと誕生日が一緒なのが嬉しい萩原悠(Twitter→@hagiwarau)でした。

最後まで読んでくれてどうもありがとう!


追記:ご結婚おめでとうございます!

note クズ野郎でも美人と結婚出来るんですね