どうも、フェイザー大好き萩原悠です!

しかしフェイザーってイマイチ人気がない気がしてるんですけどどうですか?

フランジャーとの違いもよくわからず、なんとなく音が派手なフランジャーに流れがちだったり、

使いたくなってもマルチエフェクターに入ってるので十分だと思って改めて探求されなかったり。

でもね、フェイザーって面白いんですよ!

ここでは皆さんにフェイザーの魅力と、そもそもの仕組みなどのお話をしていきたいと思います!


Phaser top

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フェイザーの基本


そもそもフェイザーとはなにか、そんなお話からしましょう。

フェイズシフター“とも呼ばれそちらの方が正しいような気がしますが、

ここではフェイザーで統一したいと思います。

フェイズとは、音の位相のことなんですね。

じゃあ位相ってなんだ?


単純な振動運動は周期的に変化する変位である。
位相(いそう、英語: phase)は、波動などの周期的な現象において、ひとつの周期中の位置を示す無次元量で、通常は角度(単位は「度」または「ラジアン」)で表される。

たとえば、時間領域における正弦波を

y(t) = A sin(ωt + α)

とすると、(ωt + α) のことを位相と言う。特に t = 0 における位相 α は初期位相あるいは位相角と呼ばれる。あるいは単に、この正弦波の位相は α であるということも多い。いずれの定義を採用するにしても、上記の式のA: 振幅、ω: 角周波数、α: 位相の3つのパラメータにより、正弦波は完全に記述される。


wikipediaより



そゆこと!

わかりやすいですね!

これがわからないようじゃギターなんて弾けないですもんね!


……うそうそうそごめんごめん!!

こんなんわからなくていいです!

“音は空気の振動“って話はわかりますか?

めちゃめちゃ簡単に言うと、その空気の波をフェイズと言います。
(ホントはもっと複雑な話です。ここでは割愛さーせん)

このフェイズは、同じ振幅幅で同じ周期での振幅であればスタート地点をずらしたところで聴覚上なんの変化もないのですが、

フェイズをずらした音と元の音を混ぜ合わせるとあら不思議、

周波数のバランスが変わり、その上でなんとも言えない奥まった音になるのです。

本来録音やPAの世界では位相がずれないように機材の接続やマイクの位置などに気を払うのですが、

音楽制作の世界ではこのズレた感じをうまく使うことによって面白い効果を得ようという人たちが現れたのがそもそもの始まりです。

ここまでだとイコライザーとほぼ変わらない効果なのですが、

フェイザーというエフェクターでは一般的にこの位相のズレ方を周期的に変化させて、

音のディップポイント(まぁ目立つところです)が上下に移動するのです。

その結果でフェイザーはシュワシュワと聴こえるというわけ!


……うん、ごめんなさい、やっぱりちょっと難しいですねww

コーラスやフランジャーとの違い


Phaser
モジュレーションエフェクターと言えば、

コーラスだったりフランジャーだったりも一緒に思い浮かぶと思いますが、

そのあたりのエフェクターとはなにが違うのでしょうか。

基本的には、

=原音+原音にモジュレーションをかけた音

的な感じで、それらはフェイザーもコーラスやフランジャーも同じです。

しかし決定的に違うのは、

コーラスやフランジャーが原音にディレイ回路を通して少しだけ遅らせた音を作り出していることに対して、

フェイザーは全く遅らせません。


本当にただ位相が変わるだけ。

そのため、コーラスやフランジャーが奥行きが出るのに対して、

フェイザーだけはリズムがタイトになりカッティングに好んで使われます。

リズムが滲まないのでバッキングにサラッとかけてもアンサンブル全体を邪魔しないというメリットもあります。

フランジャーがエグくてフェイザーがさわやか、というのはこのディレイ回路の有無によるところが大きいというわけです!

ちなみに、トレモロやビブラートはモジュレーションをかけた音オンリーで、基本的に原音は出しませんので、

割と全然違う音となり、そのためトレモロやビブラートでは”広がり感”はないですよね。


はじまりは1970年代のレスリースピーカー


フェイザーというエフェクターが生まれる前、

オルガンのサウンドを心地よく揺らすレスリースピーカー(ロータリースピーカーとも言う)というものがありました。

レスリースピーカーは大きな箱の中でスピーカーがグルグル回ってる仕組みで、

それにより、物理的に音が揺らいでしまうという画期的な製品です。

そのサウンドはオルガンプレイヤーがこぞって使いたがりましたが、

こんな気持ちいいサウンド出されたらそりゃギタリストも使いたくなり、

当時の大物ギタリストたちの間で大人気となりました。

が。

いかんせんデカい!


(そのうえもちろん高い!)

ちょっと持ち歩くってのも大変で……。

それをコンパクトサイズに落とし込むことに成功したのが1970年代のこと。

このときはまだジャズコーラス暗譜もないし、ましてやフランジャーなんてありもしない時代。

そう、フェイザーは最古のモジュレーションエフェクターなのです!


フェイズステージ,段数


(あまり踏み込んだことはナシにして、ざっくりとしたお話だけにします)

フェイザーの細かい仕組みの話はやめておきます!

位相シフト回路ってのがあって、それを通すと音の位相が変わるんです。

で、位相シフト回路は2つ1組でひとつのフェイザー効果を生むので、

全てのフェイザーには2つ以上の偶数の位相シフト回路が使われています。

それが”4段回路“だとか”6ステージフェイザー“だとか言われる、製品ごとのひとつの特徴になります。

段数が多い方がフェイザーによって強調される”ポイント“の数が増え、よりエフェクト感が強くなります。

“クセ”と言われることが多いですね。

また、位相シフト回路を増やすと段々低音域に”クセのポイント”が増えていくので、

少し低音寄りの、重たい音になりやすい傾向にあります。

もちろん最終的な出音の感じはこの後説明する各パラメーターの設定次第だったりするのですが、

このフェイズステージの数はもう仕組みの時点での話なので、

自分で調整出来るものではありません。

が、BOSSのPH-3というデジタルフェイザーは4段,6段,10段,12段と切り替えられちゃう面白いエフェクターです。





フェイザーのパラメーターの効果と意味



それでは、次にフェイザーペダルにあるパラメーターのそれぞれの役割を紹介していきます。

だいたいフェイザーにあるのはこんなパラメーターです。

  • SPEED/RATE
  • DEPTH/WIDTH/INTENSITY
  • FEEDBACK/RESONANCE
  • MIX
  • その他

それぞれ少しずつ説明しましょう。

SPEED/RATEは揺れの速さ



これはフェイザーの歴史の最初から搭載されていたパラメーターです。

モジュレーションエフェクターですから、この揺れはとても大事です。

周波数特性が変わって行く速さを調節します。

なんならこのSPEEDのノブしかないようなフェイザーも数多くリリースされています。

機種によってRATEと書いてありますが、役割は全く同じです。

DEPTH/WIDTH/INTENSITY



これも機種によって色んな言い方がされていますが、効果はどれも同じです。

揺れがどれくらい上に下に動くかという幅を決めるのがこのパラメーター。

動く幅が大きいほど周波数バランスの変化幅が大きく、移動幅が広くなるので、

フェイザーの効き目が強くなって聴こえるはずです。

波がどれくらいまで低域に降りていくか、そして逆にどの程度の高域まで上がって行くのかというのを決めることが出来ます。

FEEDBACK/RESONANCE



こちらはフェイザーの効きの強さと言ってもいいかもしれません。

一度通ったフェイズ回路に再度音を送る(フィードバックさせる)というパラメーターで、

クセ(Resonance)具合が変わるというものです。

このノブをあげていくことにより原音からかけ離れていくというわけです。

ガッツリかけてエフェクティブにしたいなら上げめ、

さらりとかけたいのなら下げめのセッティングがおすすめです。


MIX



そんなに多くないですが、位相シフト回路を通した音と原音のバランスを調整出来る機種もあります。

原音をあまり侵さずに効果をつけることが出来るので、レゾナンスとはまた違ったかたちで“効き具合”を仕込むことが出来ます。

その他


あとはもうそれぞれのモデルで特徴になるような特殊パラメーターやあったり面白機能があったりです。

その中でも割とメジャーなのが固定RATEでしょうか。


揺れのスピードを完全に止める、揺れないという設定が出来るものもあります。

揺れないモジュレーションエフェクターなんてもうアンコの入ってないアンパンマンみたいなものですが、

これがまたうまく使えば美味しい効果なんです!

位相がズレ具合、周波数バランスの狂い具合を任意のポイントに設定出来るので、

パラメトリックイコライザーのような使い方が出来て、結構面白いです。

どうしても音がちょっと引っ込んじゃうので、ライブでは使い難いかもしれませんが、

ミックスとか宅録とかやってる人は結構使い道あると思います。


フェイザーの使い道、いつ使うのか


エフェクターなんて使い方に決まりがないのでどんな風に使ってもいいのですが、

わたしの好みでいくつか使い方を紹介したいと思います。

シャープなカッティングに


やはりフェイザーが一番活きるのはシャープなカッティングかなと思います。

位相が狂った音って、音同士がぶつかることによって前に飛ばなくなるので、

コンプレッションかかったかのような質感になります。

これがまたカッティングにベストマッチ!

フランジャーだとこうはいきません。

あちらはディレイ回路を通ってるので音の歯切れが悪くなりますから。

パラメーター的には、

RATEを曲のリズムに合わせて動かすのが気持ちいいですが、

全然テンポにあってない感じでゆ〜っくりと動かすのも曲が有機的になって効果的です。

レゾナンス上げめでがっつりエフェクト感を聴かせるもよし、

デプスを上げて上から下まで広い帯域をギターのカッティングに担当させるもよし、

逆に固定RATEにしてイコライザー的に使うというのもオツなものです。


クリーンアルペジオに


クリーンアルペジオにうっすらかけてコーラスやトレモロとはまた違った揺らぎを与えるのも良さそうですね。

コーラスだと広がり過ぎてしまう、トレモロのように音量が変化したら使い難い、そんなときに使うのがフェイザーです。

スピードをゆっくりにしてあまり”揺れ感”を前面に出さないほうがいいですが、

ただ固定RATEとかにして動きを止めちゃうのは面白くないかなと思います。


歪んだ刻みに


もちろん歪みとの相性も良しです!

かの有名なエディーヴァンヘイレンのサウンドにこのフェイザーが欠かせないですよね!

独特のチュワっと感は絶妙にかゆいところに手がとどく気持ち良さです。

バッキングがなんか物足りないなと思ったときに加えてみると単調さを回避出来て楽曲が生きてくることが多く、

個人的には歌モノのバックにもよく使っています。

クランチ系のリードに


ちょっと古臭い感じのセッションではリードサウンドにかけるのもおすすめ!

単調になってしまうようなリードに周期的に表情が変わる感じ、うまく仕上げるとちょっと変わった音色になって面白いです。

高速RATEでシンセ的に


最後はごく一部の機種で出来る超高速RATEを使ったエフェクティブなサウンド。

歪んでサスティンの多いリードパートにかけることによってフレーズがテテテテと刻まれてちょっとシンセっぽいサウンドになります。

一発で曲の印象を植え付けてしまう超個性的サウンドになるので使い所を選びますが、

たまにはこういうのも面白いですよね!


まとめ:フェイザーは”絶妙”


いかがだったでしょうか。

フェイザーちょっと欲しくなりました??

コーラスほどキラキラしないし、フランジャーほどジュワジュワもしません。

が、うまい使い方をすると楽曲を面白く彩ることが出来ます。

是非使ってみてくださいね!

最後まで読んでくれてどうもありがとう!

萩原悠(Twitter→@hagiwarau)でした!