私は一応作曲家を自称しておりまして、そういうお仕事もさせて頂いています。
そんな職業病というか、むしろ培ったものなのかも知れませんが、聴いてる音楽を分析する癖があるんですよね。
それは一生懸命分析するというよりは、普通に聴いてると全部のパートというか要素というかが、バラバラに見えてくるんですよ。
そこから楽曲の意図を見いだすこともあれば作曲のスキルを盗むこともあるのですが、
今日は巷で流行ってる、ラブライブの中で、
僕がすごーーーーく好きな曲があるので、その曲について書くです!
ラブライブとはなにか……は飛ばすわw
今日つらつらと語る曲はこちらです。
Music S.T.A.R.T!!
コミケでの手売りから始まったラブライブという企画の6枚目のシングルにあたりますが、
5枚目の後にテレビアニメが放送されたため、このCDから知名度は別格のものなんだと思います。
多分ね。
アニメ最終回のタイトルとかけて来てるし。
ちなみに正確には
シングル5枚リリース
⬇
アニメ放送(放送期間中に挿入歌を複数曲シングルCDでリリース)
⬇
6枚目である[Music S.T.A.R.T!!]リリース
の順番なので、あまり6枚目だと思ってる人多くはないのかな。それはラブライバー舐め過ぎ?
まぁプロダクト的なところではもっと詳しいラブライバー(ラブライブ好きの方のことね)が沢山いると思うので、僕は作曲家視点でいこうかと思います。
と言った直後ですが…まずPVのディズニーシー感がヤバいw
なんとかハーバーがあってなんとか火山がカミテの奥にある。
もはや言い逃れできない…マジで山を青くすんのだけはやめればよかったのにw
しかもラスサビでは[Let it Go!]ばりのステージの迫り上がり。
そこ話し出すとまた長くなるし、そういうのはディズニーマニアの皆様に任せまして、曲について。
全体的な音像
まずラブライブはどの曲も大体そうなのですが、全員で歌うところの広がり感がハンパない。
個性を際立たせてどこに誰がいるってわかるようにさせる手法もあるんだけど、ラブライブではその真逆、音の壁です。
ピッチ修正もがっつりしてあるから、ハモらせたりしてストリングスシンセとかも入れたら壁…カーテンですね。「ザワッ!」って迫ってきます。
この曲は特にそのカーテン感が強いです。
その全トラックにかけるリバーブ量がセクション毎に変化してってるからカーテンの広げ具合が変わってるってわけだな。
こんなにあからさまに変えるのは勇気がいるけれど…カッコいいね。
今度僕もやろーっと。
セクション毎の分析スタート!
ここからは時間軸にそって、各セクションの魅力を語っていくという、本日のメインイベントです。
やたら長くなる予定ですが、
この曲は最後まで聴いてこそ意味があると思うので是非最後までお付き合い下さい。
で、冒頭で一応Lantisさんによる公式試聴動画を載せましたが、
それじゃ意味ないわけじゃん。
最後まで聴いてほしいわけだから。
いや〜残念だ、まぁもしかしたらどこかの悪い人がどこか中国あたりの動画サイトに全編アップロードしてるかもしれないねー。
僕は探したこともないけどね〜!
だから、僕は決してそんなところで音楽聴いてくれとは言えないけど、もしあなた見つけちゃったりしたら、それを視聴するのを止める権利はないよな〜
こういうサイトはよくないぞという例。
→中国あたりの動画サイト Music S.T.○.R.T!!
歌い出し(0:00〜)
イントロもカウントもSEもなくいきなりのトゥッティ(主にクラシックで使われる、全員演奏のこと)ですね。
しかもユニゾン!
上ハモの華やかさも下ハモの儚さもないですが、どんな複雑なハーモニーよりも力強くそして聞き取りやすい。
そんなユニゾンからこの4分半の曲はスタートします。
Welcome Song! ひとつになる心、だからここが私たちの Never ending stage
行進曲の鉄板、トニックからクリシェで降りて来るコード進行。
……なんだけど、なんか面白いとこに半音進行も入れてるので”ありきたり”にはなってない、とてもいいメロディです。
てかこんなにサビっぽいのに、50秒後には本物のサビが出て来てしまうという…じゃあこいつのポジションなんなのよ!
まぁ今はとりあえず歌詞から取って“Welcomeイントロ”と名付けましょう。
「サビトロ」とかにしようかと思ったけどめっちゃ寿司っぽくなったのでやめました。
ギターイントロ(0:15〜)
そしてその後に正規のイントロ。この記事内では便宜上“ギターイントロ”って名前つけますね。
桑田圭祐さんの[波乗りジョニー]のAメロに似てるって言わないでー!(1:56)
このギターイントロは、ラブライブでありがちな
“ギター2本でハモってるけどおとなしく3度でハモってるわけじゃない”
パターンです。
[START DASH]しかり、[それは僕たちの奇跡]しかり、[Listen to my heart]しかり、
下パートの聴き取れなさたるや!
これは単純なツインギターというより、ヴァイオリンとヴィオラのような作り方ですね。
合唱でアルトのパートが難しいのは、当人達は横の旋律を歌わなきゃいけないのに縦の旋律を重視して作られているからです。
ラブライブのギターメロはとかくこんな感じ。色んな方が作ってるのになんでだろ、誰か舵取りしてんのかな。
Aメロ(0:30〜)
Aメロは…普通。ありがち。
…と思ったけど、コードについて語ろうかな。
「la la la LoveLive!」というちょっと恥ずかしい歌詞を挟んで似たメロディを繰り返すわけですが、
前半後半でコード進行が変わってるので小さいけれどドラマチックですね。
これはJ-POPでみんながやる手法で、ご多分に漏れず僕も好きです。
この曲でやってるのは、1周め普通に1度から下がってくるクリシェだけど繰り返し時には4度から上がってくって形です。
萩原悠PresentsではVol.4 BUTTER FLYのサビでやってます。
ってこの音源誰も持ってないかごめんorz
Bメロ(0:53〜)
もうここは凛ちゃんが可愛いってことだけでいいんじゃね?
この曲のMVは凛ちゃんが革命的に可愛い。
たまたまメンバーのローテーションのせいかもしれませんが、
1番のBメロはサラッと歌う凛&希がソロ。ちょっと無個性ですね。
希に関してはもはや僕はラブライブのボーカロイドとさえ思ってます(“エビ中のボーカロイド”の異名を持つ安本彩花の感じで。)
[Mermaid Festa Vol.1]の「きィっちょーしってーるのー(多分”緊張してるの”だと思う)」とか
[乙女式恋愛塾]の全編に渡るガチガチのピッチ修正をどうぞお聴きくださいませw
話がスピリチュアルな方向にズレてしまった。
歌唱力的な面では2Bをご期待下さい。
ボーカルユニットfripSideのボーカル、
某音楽大学声楽コース出身の主人公、
そして声優としては棒読み過ぎてもはや歌唱力だけでメンバーになったんじゃないかという[本日の主役]が控えておりますので。
で、話はどこまでいったっけ…あ、まだBメロだ。
そう、Bメロ後半「これからみんなで〜」でⅡmから段々上がって行くのはテンション高い系Jpopでよくある手段
(革命デュアリズムの「沸騰せよ」からのとこと一緒ね)、
僕ももちろん……
大好きです!
サビ(1:06〜)
サビのなにが凄いってさ、いきなりの
だってパーティ終わらない。だってパーティ終わらない。
だよね。
もうここに「だって」を持って来た作詞家の畑亜貴さん、天才です。
ハルヒのあの曲もこの曲も、らき☆すたのあの曲もこの曲も、なんでもかんでも畑亜貴さんです。僕にとってアニソンと言えばこの方の歌詞です。最高です。
あ、曲についてを言わなければ。
キャッチーな曲でよくある“イントロはサビのメロを応用”という手法、主にサビの頭のフレーズ使う感じですね。AKB系列のアップテンポのイントロを思い出してみましょう。
この曲に関しては
”コード進行はサビとイントロと共有しているけど、メロは後半で繋がる”
という作りですね。後になって「なるほど!」となる面白い作り。
サビの絞め方がイントロと被るので、そのあとすぐイントロに行っても全然違和感ないし、
「まだまだ続いている!」感がありますね。
この”続いてる感”ってのはラスサビからエンディング(=イントロ)に行くときに奇麗なので僕は結構好きなんですよ。燃えます!
みんなもそうでしょ?
mermaid festa vol.2で一番好きところは最後のサビのあとにアウトロとサビメロが共存してるとこでしょ?
2A(1:41〜)
2番のAメロは…飛ばす?先も長いし。
ギターの音がめちゃくちゃ気持ちいいってことだけ書いておきます。
これちょっとフェイザー?コーラス?ダブッってますね。とっても気持ちいい。
すごく目立つけど主役を邪魔してないところがダブらせる意義。お手本サウンドです。
La La La LoveLive!の歌詞はもう許してあげてwwww
2B(2:04〜)
さて2番のBメロからですよ。この曲のすごいところは。
まず、1番のBメロをサラッと歌った凛&希に対して、すごく個性が出てると思うのです。
えりちのお姉さん風吹かしたソロパート、
ほのかの全部スタッカートみたいなソロパート。南ことりや矢澤にこ程ではないけど、なかなか個性飛ばして来てます。「しーあっわっせんのんめーろとぅーぃ!」
(歌詞は「幸せのメロディ」です。「めろとぅーぃ」はV系バンドPENICILLINのロマンス「生まれ変わるめろとぅーぃ」と同じノリねw)
(めろとぅーぃは0:50)
で、この曲は、ラブライブでちょいちょい見る
”2番の方がBメロが長い”ってタイプです。
[それは僕たちの奇跡]とか……あと…………なにかの曲でこの現象が起こってます。
通常2番の方が短いことが多いのよ。特によくあるのはAメロだけども。
それは、一度サビを聴かせちゃったら次は前回より早くそこに辿り着いた方が嬉しいっていうことだな。
Aメロとかそんな長いと飽きちゃうのよ。
でもこの曲は逆、Bメロが長くなってる。二回繰り返します。
それを繋いでいるのが今回の曲のセンターボーカル、西木野真姫さんの
「きーいーてーねー!」というパート。
MVの作画的にちょっと首が長くて気持ち悪いけどいいとしましょう。
「きーいーてーねー!」マジで美味しい。最高。
首長メロ(なんだそれw)以降もBメロが続いて真姫ちゃんのしゃくりまくるソロパート。
もう気分はL’Arc-en-Ciel!
2サビ(2:30〜)
サビ前の駆け上がりが倍の長さになってましたね、てかこの駆け上がりは実は最初のイントロ入りのところにも使われてる形でしたね。
アタックがめちゃくちゃ強いシンセも重なってるのですごくデデデデデデデデ!っていう上昇感出てます。アガルネ!
やべ、サビの話。えーっと…1サビとさほどかわらないんだけど、
歌詞が
「It’s a party終わらない」
かと思ったら
「いいぞパーティ終わらない」
でびっくりした同胞を募集しますが今は先を急ぎます。
間奏(2:54〜)
その後サビを挟んで間奏です。2コーラスやったら間奏、これJpopの鉄則ね。
間奏は二部構成で、前半は[ウェルカムイントロ]のメロですね。
サビとも違う、イントロとも違う。でもなんか聴いたことがある。
そんなこのメロはここではバックのリズムが減っているので少しだけクールダウンのセクションとして使われてます。
間奏前半から後半への渡しに、曲中何度か使われてる駆け上がりフレーズがありますが、こちらは今までの16分音符や8分音符でもなく、その中間の3連符です。
3連符って4拍子の曲では割り切れないからちょっとだけブレーキかかった感じにも聴こえるんですよね。
この曲は間奏で大盛り上がりしない作りだからですね。ナイスブレーキ。
間奏後半はAメロ前半のコード進行とBメロ後半のコード進行をくっつけたものに新しいメロを載せた感じですね。
程よい[聴いたことある感]と新鮮味を併せ持った間奏を開けるときもまた例の駆け上がりデデデデです。
Cメロ(3:19〜)
こういうセクションをCと呼ぶかDと呼ぶかはむしろサビをCと呼ぶかどうかにかかってるのですが、この記事内では便宜上ここをCメロと呼ぶで統一しましょう。
えっと、一般的にこの曲で一番話題になるのはこのCメロかも知れません。
真姫ちゃんどーんww
突然の転調、ハイトーンからのメロ、そしてこのフォーメーションにこのポーズですよ。笑うよねww
[夏色笑顔で1.2.Jump]で矢澤パイセンがやってることとあまり変わらないんだけど、
なんだろ、映像が奇麗になってしまっただけに笑えるww
その後、ラブライブお得意の3文字バレーボールです。
(これも僕が名付けただけ。
「きっと〜(きっと〜)君の〜(夢の〜)チカラ〜」
「それは〜(予感〜)それは〜 奇跡」
「だってー(ぎゅっとー)」とかのやーつ。)
を経て、強引に転調し直してサビへ。
サビ前の2拍ブレイクはシンプルで僕もやったことがあります…。
2bearさんに提供させてもらった「君☆オレンジ☆ヒカリへ」のラスサビ前がそうや。
サビが来るでしょとみんながわかってるタイミングでちょっとブレイク、しかも4拍子なのに2拍だけ増えてるから逆にスピード感が出るという仕組みです。
サビ(3:38〜)
サビは…毎回あまり書くことないんだけど、ラスサビはMVでステージが迫り上がるってのがポイントね。
[Let it Go!/アナと雪の女王]
の中間で氷の城をゴゴゴゴって出すときのような迫力。
そして照明さんの仕事がもはやディズニーシーです。
(↓参考:ファンタズミック)
で、この記事の著者である萩原悠も、この曲の作詞者である畑亜貴さんももうサビ中で言いたいこと言い切ったので、相変わらずの「そんな気分さ♪」で終わらせ…ようとすると!
サビをちょっとだけ繰り返すときに入ってくる「終ーわーらーなーいーみーんーなー」というコーラスパート、
これってきっとみんな気付かないかもだけどメロ的には“ギターイントロ”のフレーズの頭を倍の長さにしたものなんですね。素敵ですね。
そしてサビを締める
「la la la最高気分さ♪」
なるほどね…Aメロのダッサい
「la la la LoveLive!」はここに解決するわけですか。
うまいことやりましたな。
メロは対応してないからこれは畑亜貴さんが単独で仕掛けたものですね。
そんなこんなでサビは終わるわけですが…
まだまだパーティーは終わらない。
何故なら!↓
ウェルカムイントロ!(4:08〜)
ここへ来て帰って来ました、[ウェルカムイントロ]です!
冒頭ではサビばりの力強さを、間奏ではちょっと落としてサポートにまわっていたあいつが!このタイミングで帰ってきてくれました!
もうこれはさ、つまり[大サビ]って扱いでしたね。
度々出現したあいつが最後の最後で立ちはだかる…
いわばポケモンのライバルみたいな存在に!
しかも今回は下ハモが付いてる!
しかも二回繰り返す!
しかもその繰り返しを繋いでる「おーどーろーうー!」
は真姫ちゃんの首長パート
「きーいーてーねー!」
のメロですよね。
そしてこのメロ、直前に聴いた「おーわーらーなーいーみーんーなー」
に似てるんですよね。
つまり、ギターイントロのモチーフと同じです。波乗りジョニーの!
なにそれ総出演かよ、カッケ。かっけ。
そして最後の歌詞はイントロで言ったのと全く同じ内容だけども、
ラスサビの後に大サビを二回繰り返して、最後の最後にタイミングで歌われる
だからここが
私たちのNever ending Stage
ってめちゃくちゃかっこよくね?
おいマジ天才だな。
ギターイントロを歌う(4:31〜)
そしてなんとまだありました。
なんせウェルカムイントロは大サビとなってしまったので、アウトロにはならなくなってしまいました。
そこで颯爽と現れるギターイントロ。
ジャンプ漫画とかで途中いつの間にいなくなったやつが一番いいタイミングで駆けつけてくれるあの感じです。
しかも最後はそのギターに被せて全員が歌ってるという大団円っぷり。
マジでこいつらどんだけパーティー終わらす気ないんだよという感じですが、
曲はこのテンション最高潮の内に終わります。
総評
まさかこれだけ詰め込んで4分40秒。
なんという構成美なんでしょう。
この曲が好きだってことはリリース当初からあちこちで言ってたんですけど、
何故好きなのかということを語ったことはありませんでした。
面倒なので……というより、ここまで語ったら面倒がられるので
(だって主に語りたいのは曲の後半だし、前半から順に語らないと意味ないし…)
「真姫ちゃんがセンターだからに決まってんだろ!」
とか適当言ってました。
嘘ついててすみませんww
まぁ……ぶっちゃけあまり好きじゃない部分もありますよ。
Music S.T.A.R.T!!っていうタイトルとか。
こんなにも
だってパーティー終わらない、いいぞパーティー終わらない、
君と踊る光の渦が 消えないずっとね消えない—
ひとつになる心 だからここが私たちのNever Ending Stage
というテーマなんだから、
もう素直に
NEVER ENDING STAGE
でいいじゃないですか。
Bメロでは
これからみんなで始めよう!的なこと言ってますが、
いやいやもうとっくに始まってるんじゃないの?というもやもや。
でももうそれを許してしまうくらいいい曲だからいいわ!なんでもいいわ!笑
どうでしょう、あなたにもこの曲の素晴らしさが伝わったでしょうか。
ということで、是非CD買うとよい!
CDの購入を薦める理由はMusicS.T.A.R.T!が終わったあとにわかるよ。
LoveLiveにおけるLOVELESS WORLDという本末転倒な神曲が入っているのだから…
その曲についてはまた今度。
最後まで読んでくれてありがとう!
萩原悠(Twitter→@hagiwarau)でした!